起業家ストーリー まだない幸せを作ってきた私達#01

自分で判断して進むことができ、自由に生きる楽しさが起業にある。

株式会社ミクシィ
取締役会長

笠原 健治

Kenji Kasahara

東京大学在学中に求人サイト「Find Job!」を立ち上げ、1999年に有限会社イー・マーキュリーを設立。2004年2月にSNS「mixi」の提供を開始し、2006年12月には利用者が700万人を突破、「ミクシィ」が流行語大賞にもなるなどSNSのブームの火付け役となる。2015年に家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」を開発・リリースし、2019年1月には利用者数は400万人を突破。さまざまなイノベーションを次々と世に生み出す日本屈指の稀代のイノベーター。

PROFILE

世界を代表する起業家に触発された学生時代。

官僚を志して東京大学に進学しましたが、「なんとなく違うな」と将来に悩んでいました。起業したきっかけは、大学3年次に経営戦略ゼミに所属したこと。アップル、マイクロソフト、DELLといった世界的なテクノロジー企業のケーススタディを取り上げる機会が多くあり、そのような企業が一体どんな会社なのか興味を持ちました。調べてみると、ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブスも、ガレージや自宅の一室で自分とほぼ同じ年齢で会社を起業して、それが約20年経って世界を代表する企業に成長しています。さらに、まだまだ大きくなっていくダイナミズムに強い印象を受けたこともあって、自分にも出来るのではないかと考えました。
当時はインターネットが世の中に出始めた頃。日本ではまだ楽天もなく、Yahoo!JAPANがかろうじて始まったばかりでしたが、大企業を辞めて起業している人も現れていました。また、アメリカではAmazonが97年に上場するなどインターネット産業が台頭し始めています。そこで、自分にもチャンスがあると思い1997年にインターネットを使ったサービスを始めようと思い立ったのです。

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ネットの利点を活かした求人情報サイトを立ち上げる。

今ではインターネットでできることはたくさんありますが、当時はまだ草創期。Amazonを創立したジェフ・ベゾスが「ネットの良いところは大量の情報を瞬時に検索できること」と語っていたこともあって、私が着目したのが求人情報でした。その頃の求人活動といえば求人情報誌をめくりながら気になる会社を探し、直接電話をして応募するのが一般的です。しかし、雑誌を1ページずつめくりながら探すよりは、自分の必要な条件を検索して合致するものに対して応募する方が自然です。また、紙に印刷して流通させるよりもはるかに低コストで実現できて在庫を抱えることもありません。リアルタイムで内容の変更や削除ができるので情報の鮮度も高いことからチャンスがあるのではないかと思ったのです。
周囲が就職活動をしている中、お金を貯めてPCを買い、ホームページの作成方法を自ら勉強して1997年に求人サイト『Find Job!』を立ち上げました。ところが最初の2〜3ヵ月はアクションが鈍く閑古鳥が鳴いていました。自信満々で立ち上げたものの、まったくブランドが無いことからユーザーや顧客に信用されずアクションしないという悪循環が続いてしまったのです。ただ、理論上は間違っていないはず。地道に企業を訪問して情報を掲載させてもらう活動を続けたところ、収益が軌道に乗った1999年に法人化しました。

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画期的なコミュニケーションをネットで実現した「mixi」の誕生。

2000年代に入り、新しいチャレンジがしたいと次に目を付けたのがオークション事業でした。ネットでモノを購入する上で動的に価格が決まる仕組みや、ユーザー間でモノを売買する新しさが十分にあり、とても大きなチャンスだと思って立ち上げましたが、同時期にYahoo!、楽天、DeNAが始めたことからもの凄い競争となってしまい、とても太刀打ちできないと半年ほどで断念しました。
そして、会社にとって大きな転機のきっかけとなったのが2002年に海外でサービスを開始した「Friendster」というSNSでした。自分のプロフィールや友人関係をネットで見ることができ、その友人のプロフィールも覗けるなど、ネット上で人々が連鎖的につながっていくSNSの原型ともいえるもの。最初に見た時はとても斬新なサービスだと驚きましたし、大きな可能性を感じました。一方で、プロフィールと交友関係を見るだけなので、やることがなくなって徐々にアクセスしなくなります。そこで、どんな機能があれば「使い続ける理由」ができるかを考えて生み出したのがコミュニケーション機能でした。日記を書き、つながった人たちが読み、訪れた人の「足あと」を残す。そして招待制を取り入れてさらに新しい友だちとつながっていく。そんな日々を楽しくコミュニケーションできるインフラが『mixi』でした。2010年には2000万人以上が利用しましたが、我々の想像以上に大きく成長した事業になったのです。

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友人とコミュニケーションできる遊びを追求した「モンスト」。

ブームを作った『mixi』でしたが、Facebook、Twitter、LINEが登場すると下火になってきました。フリマ、ニュースアプリなど新しいサービスのアイデアが浮上しましたが、その中で大ヒットしたのがゲーム事業の『モンスターストライク』です。通常、ゲーム会社が確実にゲームをヒットさせようとすると、そのゲームが好きな人を集めてネット上で対戦するなどゲーム上で頂上決戦をさせるのがセオリー。ゲーム好きな同士でハマってくれるゲームのほうが売上を伸ばしやすいのです。しかし、モンストの場合は、みんなで集まってワイワイと「コミュニケーションできる遊び」を追求したことが大きなイノベーション。知っている友だちと楽しみたくてモンストをやる。モンスト自体もゲームとして楽しいので、みんなで盛り上がれる。他の子も友だちと一緒に遊びたいのでモンストをやる。友人とのコミュニケーションの手段としてのゲームなのです。『mixi』に代表されるように友人とコミュニケーションするSNSを手がけた発想がメガヒットにつながったのだと思います。

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自分で判断して進むことができ、自由に生きる楽しさが起業にある。

イノベーションをする上で、常に意識しているのは「ユーザーに新しい体験を提供できているか」という点です。これまでのサービスでは手が届かなかったところは何か、提供していない新しい価値は何か。驚きや喜びといったポジティブな新しい体験を提供し、その度合いが大きければ大きいほどインパクトがあり、かつ、そのサービスが成功する角度が上がるのです。新しい技術やプラットフォームを活かし、環境の変化や時代の流れに対してアンテナを立てながら「その時代に合った新しい価値は何だろう」と考えることが重要です。
「スタートアップ」という言葉が世の中に出てきたように、現代では起業はよりカジュアルになっていますし、実際に学生起業家の方も増えています。一度、会社で仕事をした経験を持ってしまうとそこで一定の常識を教わってしまい、仕事というフレームワークが余計なクセになってしまう部分もあるでしょう。一方で若いうちから起業することは良い意味での「常識」がないことが強みとなるはず。もちろん不安もあると思いますが、若いからこそ何でも許されますし、仮に失敗したとしてもむしろ逆に「経験」として買われます。
大事なことは、実際に自分の手で動かし、自分の目で見て、自分で汗をかくこと。最初は上手くいかないことも多いと思いますが、次への学びを得ながら「あきらめない強い思い」を持ち、自分の理想を実現すべく動き続ける。それができる人がイノベーションを起こせます。起業は、自分がどのような方向に進もうとするか判断を決めることができます。ある意味、自由に生きられるということ。それが起業する楽しさです。

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HISTORY

笠原 健治さんの経歴

1975
大阪府箕面市出身
1994
東京大学文科二類入学。3年次に経営戦略ゼミに所属し、世界の起業家に興味を持つ
1997
求人サイト「Find Job!」の運営を開始
1999
有限会社イー・マーキュリー設立。インターネットオークションサイトを開設
2000
イー・マーキュリーを株式会社化
2004
SNS「mixi」の運営を開始。11月に利用者20万人突破
2006
イー・マーキュリーの商号をミクシィに変更。9月に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場。
12月にはmixiの利用者が745万人に
2013
代表取締役社長を退任し、取締役会長に。
新規サービスの開拓に注力する
2015
家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」の運営を開始
2019
「家族アルバム みてね」の利用者数が400万人突破

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